■園長だより(このごろ気がついたこと・2003年度10月)
2003.10.19
 天気予報で“絶好の行楽日和”と云っていましたが、休日の幼稚園は静かで小鳥たちの声だけがにぎやかです。さらりとした気持ちの良い気候です。子どもたちは、こんな日 何をしているのでしょうか。
 (19)92年秋(9月)から、月の2番目(土)休日…いわゆる学校週5日制が始まりました。その後′95年度から第2・4(土)月2回休みに、前年度2002年度からは完全週5日制になり 学校の土・日休みが、すっかり定着してきたように感じています。


 昨日は、その良い天気に誘われて沢山の人で賑わうコスモス畑に行きました。我が子が小さいときは、もっぱら水筒とお握りに卵焼きの弁当、家にありあわせの菓子を無造作にバッグに詰めて出かけていましたが 今は二人なので、風まかせの行き当たりばったりで辿り着いたところが目的地になるということも多くて。文字通り、秋の「お花見」です。一千万本もの秋桜の人工の群落は、壮観!美しくて老若男女、大勢を自ずと集わせています〜「桃李トウリ、蹊ケイを成す」。…居合わせる見も知らぬ家族〜親子連れ、友達のグループ、若い二人連れ、車椅子を押してもらう人、お年寄りの手を引く夫婦、犬を連れた家族連れ・・・いろいろな家族を 青い空の下まぶしく眺めて、幸せな数時間を過ごしました。 
 帰るときにふいに耳にした若いお母さんと、幼い男児たち二人の会話。満3歳と、一つ下くらいに見える兄弟は背丈より優に高い赤桃、薄桃、白などの花々を背にしてお母さんにずっと笑顔を送っています。お母さんからは、「こっち、こっち!」「ほぉら、笑ってわらって。」…いずこも同じ声がかけられています。と、その時。「お花が、泣いているよ。」つい、手を差し伸べて花をちぎろうとした下の子へ母親のやさしい声。同様に“おにいちゃん”も、穏やかな声音で相槌を打って弟の動きを制止しています。下の子も何の抵抗もなく笑顔のまま…きっと、その後 無・事に「記念写真」はすんだ事でしょう。兄弟たちの心に、こんな親子のやりとりが一枚の写真のように残るとは思えませんが、子どもの情操や態度は このようにして少しずつ時間をかけて培われていくのだな、と感じました。コスモスは花の付けねでちぎり、滑り台の上などから真下に手放すと、くるくると回りながら落ちて綺麗です。幼稚園のコスモスは子どもたちの遊び相手でもありますから、無心に遊ぶ姿を一概に矯めたりは出来ないのですが 公共の場で皆さんで大事にしている花を迷いなく、我が子へと大切にする心を伝え合っている、その親子の自然なやり取りに日常をも垣間見る気がしました。美しい季節を五感で味わえる場面で、快いイメージと共に良い情操が育まれ親子の時間が良いものにできている事にも、ほっとする嬉しさが感じられました。


 明日は、年中児とドングリ拾いに出かけます。ヤギの餌を足しながら、園地周りのコスモスを見まわし・・来年は更にもっと増やそうと、企てて愉しむ冬支度前です。



2003.10.13
 昨日、第23回肥後菊幼稚園の栗の実運動会を無事に終えました。
 運動会の朝の大変美しい虹を始め 途中の天気も、まさに誂えた様に子ども達へは優しさや幾らかの試練になる厳しさのあるもので、奇遇を感じました。雨が降り出すかと思われた中での年中児や年少児の遊戯や、眩しい日差しを覆さねばならなかった午後1番の年長児の組体操、祖父母や家族の皆さんの楽しげな表情を嬉しく眺められた保護者(と)のプログラム…全てについて、それぞれ良い一日の一こまずつになったと思います。空に感謝し、皆様に深く感謝申し上げます。
 たくさんの卒園児達や、新しく来春入園を希望下さる方を始め小さいお子さん達とその御家族、多くの縁のある方達や 来園はなくとも当日を支援下さった皆さんへも心からお礼申し上げます。

 「お空に、助けていただいた。」今回の空模様について、私達は本当に 今年の初めに3月、1月と相次いで亡くなられた私達の人生の師のお蔭であったとも思っています。・・・初代の下田 巳太郎園長先生と共に肥後菊幼稚園の出発点〜基礎をきづいて、いつも見守ってくださっていた大村 寛先生と、初代園長先生の奥様の下田 さつき様、です。天国の下田園長先生へも合わせて ここでなり慎んで感謝を申し述べたい程…先生方が、いつもお優しく本当に立派なお人柄であり、私達にとって、肥後菊幼稚園にとっても、失ったことが今もなお、大きな悲しみ、損失であったことと 皆さんが空の上から見ておられることが、子ども達や御家族に対して今を精一杯生きる大きな励みであることを ここに記させてください。


2003.10.10
 明後日は、本園の第23回栗の実運動会を開催いたします。 園児のご家族を始め、いろいろな方に肥後菊幼稚園を知っていただく良い機会でもあろうかと思いますので多くの方のご来園をお待ちしています。何より、子ども達を励ます気持ちで 楽しい大らかで温かな、気持ちのよい秋の一日をお過ごし頂ければと思います。みなさんで「つくる」たのしい秋の一日!になるよう、ご協力ください。
 先週末から二日間 NHK(総合)で夜、テレビ放送された「少年犯罪」を取り上げた特集番組はご覧になりましたか?少年犯罪の急増・凶悪化は近年、大きな問題になりつつある、と言っていましたね。…本当に、怖い事件や困った事件が後を絶ちません。犯罪は「少年」に限らず、社会全体に不安や心配が続く事柄が増えているように感じます。
 このような事柄を見聞きすると、やはりつい「今、自分に出来ることは?」と幼児期の子ども達の生活や、幼稚園で毎日心がけていくことに関して想いが及びます。


 先月末25日の熊日10面の「くらし」欄の見出し
 〜幼稚園生き残りをかけて、広がる・・・預かり保育 県内私立98%実施「教育に支障」否定的見方も〜
 内容についてはふれませんが、子どもは「もの」ではないのです。言葉のあやではあるものの、幼稚園の課業時間外の保育として園児たちを“預かる”という表現にすら、私は抵抗があります。(もっとも、本園では「延長保育」と呼んでいるため「えんちょう(園長)の保育」と思い違いしたりする微笑ましい勘違いはありましたが。私は、幼稚園バスの運転もする為もあり、専任の先生が担当。)

 また、今月始め6日の熊日・県内総合版20面には隣接市の話題。
 〜ホリディ保育始動 日曜祝日も 就学前児童受け入れ 宇土市〜
 日曜日や、祝日にも 必要に応じなければならない状況の中で、それを受け入れていかれる保育所のご努力に頭が下がります。休日の長い時間を支える側の苦労が、子どもの背負う負荷にならないようにする献身的な頑張りは並大抵のものではないということを、常々の保育実践から充分に察するからです。


 子ども達を、さびしい心にしないこと。温かく、大らかに過ごさせること。これは、毎日の保育の中で大変たいせつにしていることです。子どもの心の基盤は、温かさと大らかさで保つこと。
 これに、大きく反したら…子どものみならず、人のみならず、ある種“自暴自棄”〜自分も人も大切には出来ない一瞬をまねくのではないでしょうか。


 日曜日は、たのしく・あたたかく・大らかに…どうか晴天で良い秋の思い出をふやしましょう。









2003.10. 3
 田んぼが色づいて来ました。次第に、まわりの野山も“それぞれ”の秋の色や形、姿で自己を主張する“とりどり”が美しいと実感できる季節です。・・・心して見つめていないと つい目を引く色や形に関心を奪われがちだな、とか おのおのの実りの姿・形など特に「ふさわしさ」に充ちている、とか 丁寧に見ていないと前の姿を思い出せないよ、とか。〜自然は、私達に多くを学ばせ、悟らせ、省みさせてくれます。
 毎日欠かさず 朝な夕な眺める運動場の真中の“一本の木”。以前に、幼稚園から随時出していた「ひごぎく」の最終号のタイトルだったと思います。この木は今から15年ほど前、種から発芽して根付き、今の姿に成りました。2002年度に二十歳になり未年の正月に成人の祝いだった昭和62年度卒園児たちが、ちょうどこの季節に担任と種を集めてまいた、まるで昔話「さるかに」のシーンを連想するような秋の日が思い出されます。
 次週12日は、栗の実運動会です。今年も「木」を囲んで、集った皆さんと大らかに温かく過ごす秋の一日になることを願います。たくさんの皆さんの参加、来園をお待ちしています。