■園長だより(このごろ気がついたこと・2003年度11月)
2003.11.22
 今日は、「いい夫婦の日(11・22)」だそうですね。・・・良い小春日になりました。昇降口の床張り工事の仕上げに幼稚園に出てきましたが、ひまわり組の(Nちゃん・Sちゃん・Kちゃん・Yくん・Hくん、見つけた順に。)前の南向きに並んだ鉢植えの球根が、それぞれの芽を出し始めました。


 ゆうべテレビでみた洋画は良かったです。ちょうど二人でみていた時に、動物好きの娘から別の映画が(民放で)始まったことを知らせるメールが入りました。(母親に再度「(お父さんのことだから)綺麗な女のヒトが出ている映画なの?」と、タイヘンな誤解のメールも来ていましたが)けれども、最後までみて良かったです。娘が知らせてくれた映画は、こちらが終わったその後に可愛い小犬たちが生まれた辺りから観ましたが、途中から私はうたた寝をしていました。最後までみた「アウトサイダー」は、アメリカの十代の少年達の青春時代を描いた映画でした。幾らか、以前アカデミー賞を複数受賞した「ウエストサイドストーリー」のようで、特に ・・・友達が対立したグループの暴行に遭ったので助けようとナイフで相手を刺殺してしまった少年が、子ども達を助けるために火の中に飛び込んで大火傷を負い・・・亡くなる前に書いて主人公に宛てた手紙の言葉に、深く心を打たれました。日が改まって生まれ変わる朝の、生まれたての夜明け前の黄金(きん)色の空を、新しい生まれたての命にみちた「子ども」時代に重ねた言葉で、美しい・崇高な心で綴られた言葉でした。


 黄金色…。幼稚園の銀杏も ほとんどの葉を落としました。これから、少しずつ園庭も寂しい色になります。毎年、景色から色が減っていく季節には つい家族にぼやきます。「さびしくなるなぁ。」〜今年は近所の紅葉も例年に比べ、あまり美しくありませんでした。色が増し、服装も軽快になる春(から夏)が私は好きです。花が好きなので、花の多い季節がいいのかもしれません。出かけても目が行きます。いろいろな種類や形、色に興味がわきます。

 菊花展なども行われ、美しい菊の花は もう暫らくは楽しめそうですね。菊は、香りも形も芳しく、愛でる人の心や優しさに触れると共に 奥の深さを感じさせる花です。幼稚園の名前である「肥後菊」も唯一 園名としては他になく、県の古くからの六花のひとつであり、愛好家の育てられた名花を熊本城内でなど観賞すると心洗われます。
 「“きく”は一時の恥、知らぬは一生の恥じ。」。「き(訊)く」ことで利くようになっていき、「き(聞)く」毎日に聴く中身を利き、効くように。「きく」ことは、常日頃大切にしていきたいものです。



 ゆうべ、15匹の子沢山なイヌの“両親”が、どの“子ども”へも愛情を注いでいる姿に うちのアロアの両親に そういえばきちんと挨拶もしなかったな、等と夢うつつに思っていました。人も動物も、の家族愛。…心あたたかい「冬」に向かいたいですね。






2003.11. 9
 昨日午前中は、熊本市産業文化会館で研修会がありました。開会後の式は、県知事など来賓もあり粛々と心引き締まるものでしたが 実技研修は、講師のN氏の日常子ども達へ注いでおられている深い想いが 楽しく明るい実感と共に伝わってくる和やかなものでした。県下の私立幼稚園の集まりで、たとえば熊本市O幼稚園のY園長先生をはじめ 講師の誘(いざな)いに笑顔で大ステージに上がり、満面の笑みで座を保ちながら 元気に実践的な身体表現や歌遊びに応じておられる仲間達の姿に心強さを感じ、力強い勇気すらわきました。明るい雰囲気に、自らも童心にかえり 心から笑い、楽しみながら講師の言われる「子どもがわくわくする幼稚園」「子どもの笑顔をつくる仕事」の本質を学びました。
 同じ幼稚園教諭仲間と、研修の演題でもあった〜共歓から共感〜こころを通わせる時間が持てた本園の先生たちも、良い研修に出来たと思いました。人に会い、人と出会い、人とあわせる…忙しい日常の中で疎かにもなりがちなことですが、時間をうまく生み出す努力をして可能な限り今後も又、と思いました。


 11月1日午後テレビTKUで 松橋町も後援して製作された地元の誇り、松田喜一翁を描いた番組が放映されました。卒園児のN・T君が出演することを先日の運動会来園時に ご家族から伺っていたので、ビデオに撮りながら視ていました。(Nくん、よかったよ。よかったね!)  小さい頃から、親や周囲の抱く「松田喜一」さんへの敬意や人となりは聞き感じてはいたものの、番組を通して改めて 今もなお、多くの人から崇められ慕われている所以〜その偉大さを知りました。そして、土作りと人作りに通じる大変さも感じました。手間ひま、時間と根気の要る仕事です。




 前週に、芋が掘れて本当に良かったと思います。今日の雨は、寒さを連れて来ました。そういえば、昨日は「立冬」でした。
 金曜日は、列を成して芋畑に向かう子ども達の後を 私も一輪車を押して続きましたが 芋の収穫、運搬、選んで水洗い(これは、先生たちが仕上げ)などに子ども達も幼児に向く範囲で参加、皆で食し、持ち帰ることができました。園児が帰宅するときに隣家から、自作の畑で取れた大きな芋を子ども達に持たせてやってくれるように、ともらいました。余りに小さい芋では、折角の待ち焦がれた芋掘りが…という親・心「か・て・てやってくれ…。」でしたから、出来る限り一人ずつの新聞紙手製の芋袋を覗いては、「親」の思いを汲んで「かてて」入れました。


 来年は、もっと肥料を入れて土を肥やして…体験入園の小さな子たちにも園児たちにも、もっともっと・・・土がこんなにも!育て増やす力があるのだと更に実感できるほどの芋が入るようにしたい!  〜私の今年の芋掘り後感です。
 実りのよろこびは、自然と共に作る=「土」づくりから。幼稚園の楽しい時間や、笑顔のよろこびは、必然に「人」と共につくるから…。徒然、「ひと」を「人」とつくる心づもりを大事に、保護者の皆さんや前述の私立幼稚園の仲間たちをはじめ「人」とつながりながら、次の季節に備えたいと思います。





2003.11. 2
 久しぶりに、雨の運動場を眺める日曜日です。明日も「文化の日」で休日ですが、ゆうべからの雨で気温も下がり 木々の紅葉が ぐんとすすみました。今週は「はっぱのフレディ」の話などにも触れるはずなので、風につれて 美しい赤や黄の落ち行く様を子どもと共に愛でたいものです。


 NHKスペシャル・シリーズ「学校は変われるか」(全2回)の第2回 討論“ 学力bPに学べ”というおよそ90分間の番組が、ゆうべ放送されました。
 民間教育機関の学力テストで全国トップクラスになった京都市立G小学校と、先進国の中で学力世界一になったというフィンランドの実践例について、知事・中学校教師・財界人・親(の立場のジャーナリスト)・大学教授・文部科学省大臣官房審議官が討論。何が高い学力を生んだのか、日本の教師と学校をどう変えるかが議論されていました。
 教師を親が評価したり 考えを出して、教育の内容に学校以外からも関与していくという意見や、学校の教育に関わる全般的な権限を 学校(長)や地方自治体へ もっと委譲していく(権限を持たせる)という意見が、経済同友会幹事をはじめ親(女性ジャーナリスト)の立場から大きく支持されていました。特に前者は、教育がもはや「学校」のみでは(完全5日制など、時間の上から等も必然)子どもの生活を見届け・整えきれない実情からも、当然の意見といえるでしょう。また、教師や校長の資質と自治体の教育委員会の専門性の向上が必要だと言う鳥取県知事の意見や、中でも教師の資質や評価〜それ以前の問題として 子ども背後の家庭や地域を見つめる必要を述べていた中学教師K教諭の意見には、同調します。たぶん、教師の資質向上や校長の研修に時間を費やすときに、子どもの基礎学力学習始期それ以前に 同時に行わねばならない急務を 現場のK先生は多分、いやと言うほど肌で感じておられるに違いありません。  学校教育スタートの時点で、話が聞ける・基礎的な生活の態度や望ましい生活の態度、できれば加えて意欲的でいきいきとした素直に感動する気持ちや「人」に対する愛着感が欠落しないで持ててさえいれば!ではないのでしょうか。そしてもし今の学校の問題を論じるときに、これらを必要と他の現場の教師や周囲も感じているのであれば ゆうべの議論は、すこしだけピントずれ。
 学校教育の問題を論じるときに 時期尚早などでなく、もっとさかのぼった乳幼児期=就学前時期の子どもの生活や周辺についての議論が必要ではないかと思います。「三つ子の魂百まで」、「国家百年の計」、まさに「米百俵」。・・・「餅は餅屋」。


 それにしても…今日は無風で静かな雨だったので、運動場は 葉が決めた落ち場所が今なら分かる、美しい赤や黄色の模様です。このまま子どもに見せたいと、明後日まで掃かずにおいてみましょうか。・・・自然にまかせるものと、子どもには やはり!手を加えて整えてやりたいことと…いずれが良いかの決め方は、その時々に刻一刻 変化しつづけますから。〜これは明日の風まかせで、決めましょう。
 明日は明日の風が吹くとも、今日の風「今」をこそ、「未」子どもをこそ。“もちやは もち”。